バングラデシュ

 「かけ橋」や「もうひとつのかけ橋」に掲載された記事などを中心に現地の様子や現地でのNVCの活動に関する情報をおとどけします。

バングラデシュレポート

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<スタディーツアー報告>バングラデシュ(2005年8月10日〜8月17日)@ 報告者 渡邉 順美
1.期 間
  2005 年8 月10 日(水)〜 2005 年8 月17 日(水)

2.訪問者
  藤崎千代子、鈴木晴夫、芳賀理江、渡邉順美

3.概要
  NVC は、バングラデシュ サウスバリア村で補習教室と識字教室の支援を行っています。それぞれの状況は、次のとおりです。


1.補習教室の状況

● 児童数等
 現在、1年生・3年生の65名(男28 名、女37 名)の児童が学んでいる。公立小学校に通学していない児童は7 名いるが、公立学校へ通う様指導をしている。家庭の困窮度が高い児童を優先的に受け入れている。

● 授業について
 新学期は1月から始まり、12月に終了する。授業は、木曜日と金曜日を除く毎日、15 時30分〜 17 時30 分に、1つの教室で同時に行い、教員2名が学年別に指導をしている。公立小学校の長期休暇中も授業を行っている。

 授業では、公立小学校の授業の補習の他、衛生(手洗い、歯磨き等)、図画、工作(竹細工等)、ゲーム、音楽、礼儀作法、地理も教えている。

 宿題も毎日出しており、児童は良く勉強をしている。時折、家庭での勉強の様子を見るため、教師が抜き打ちで家庭訪問を行
うこともある。

● 補習教室の成果
 公立小学校の成績上位者は、NVC 補習教室の児童が多く占めるようになった。公立小学校の生徒の中には、家計に余裕があり、家庭教師を付けている生徒もいるが、そのような生徒にひけを取らない成績であることに、NVC 補習教室の児童自身も誇りを持っている。また、補習教室終了後の4年生以降に、公立小学校の授業が理解できず退学するケースが減った。

2.識字教室(対象:補習教室の児童の母親)

● 受講する前の母親たちの状態
・自分の名前を書くことができなかった。
・手紙も文字が書ける人に頼んで書いてもらっていた。また、文字が読めないので、手紙がきても誰から来たのかわからなかった。
・子どもが何を勉強しているのかもわからず、もちろん、子どもの勉強を見てあげることもできなかった。

● 授業について
 前期(1 月〜 6 月)15 名、後期(7月〜 12 月)15 名の受講生に対し、木曜日、金曜日を除く毎日10 時〜12 時の間授業を行っている。受講生の能力を考慮し、当初週2 日の予定であったところ、週5 日の授業に変更した。
 授業内容は、ベンガル語の文字、数字、基本的な単語の習得を中心に、反復学習を行い、宿題も課した。受講生の態度は積極的で、前期終了者の10 名以上から、もっと長期間のコースにして欲しい、英語も勉強したいとの要望もあった。
 
● 前期授業を終了して・教師の感想
 成人の識字教室を担当することは初めての経験であるし、受講生は、補習教室の児童とは異なり覚えが悪く、苦労の連続であった。

● 前期授業を終了して・受講生の感想
・住所と、自分、家族の名前が書けるようになった。
・海外に出稼ぎに行っている夫に手紙を書けるようになったし、手紙の差出人も分かるようになった。
・子どもの勉強を家で見てあげられるようになり、子どもが何を勉強しているかが分かるようになった。

3.公立小学校(チャンドラバザール小学校)訪問

・補習教室から、徒歩約10分の位置にある。現在、1 年生・5 年生 910 名が在籍。教員数は10 名だが、常時出勤しているのは7名程度で、全教員が揃うことはまず無い。
・1 年生は、90 人× 3 クラスから構成され、他の学年も同様のクラス編成である。
 1 年生・2 年生が午前2 時間、3年生・5 年生が午後3 時間の授業を行っている。
・教室数は5 教室で、机・椅子の数も60 人分程度しかなく、教室も机・椅子も不足している状態である。
 椅子に座れない生徒は、立って授業を受ける場合もある。このように公立小学校の就学環境は劣悪であり、「義務教育での退学」という日本では想像し難い事態が生じている。(1 年生で200 人いた生徒が、最終学年で50 人になってしまったこともある。)
・ 公立小学校に入学すべき年齢と実際入学した年齢がずれている事例も多くある。

主たる理由は次の2点である。
   1)正確な年齢がわからず、結果として年齢がずれてしまう。
   2)保護者の教育に対する理解が不足しており、入学年齢に達したにもかかわらず入学させない。(周囲から促されてようやく入学させることが多い。)

4.その他

 我々が宿泊したホテルの隣のレストランで働く12、3 歳の男子は、1 日15 時間の労働で月給400 タカ+チップ= 800 タカ程度(日本円で約2,000 円)の収入であった。

5.考察と感想

● 公立小学校(義務教育)における退学の要因について
 公立小学校(義務教育)における退学の主たる要因は次の2点である。
   1)家庭の貧困
   2)公立小学校の劣悪な就学環境が引き起こす学習意欲低下、理解不足
 NVC 補習教室は、2)の学習意欲低下、理解不足を防ぎ、公立小学校における退学率の低下に貢献している。

● 識字教室について
 受講生から期間延長の要望があったが、目標レベルを充分に検討する必要がある。

● バングラデシュでの事業について
 補習教室は、開始後5 年を経過し、今年からは母親対象の識字教室も開始した訳だが、今後より一層重要になってくるのは、カウンターパートと受益者(補習教室児童、識字教室受講生)、および、これらの教室を担当している2名の教員との関係である。

 具体的には、サウスバリア村に居住していないカウンターパートが、今や現地スタッフとしての役割も果たしつつある教員たちと連携し、受益者のニーズを吸い上げ、実現可能なプランを立案、実行していくことが重要になってくると考える。

 バングラデシュのプロジェクトは、ゆっくりではあるが、確実に伸展している。特に、受益者たち(補習教室児童、識字教室受講生)が、訪問の度に逞しい姿になっていることは印象的である。

 村での通訳であり、我々のスタディツアーのチューターでもあるブイヤンハンナン氏から最初の頃お聞きした「バングラデシュでは石の上にも10 年という言葉がある」という言葉の意味を反芻しながら、今後もバングラデシュの事業を担当していきたい。

熱心に学ぶ識字教室のお母さん

ベンガル数字の書き方を練習するお母さん

<スタディーツアー報告>バングラデシュ(2005年8月10日〜8月17日)A 報告者 鈴木 晴夫
 アッサラーム・アライクム! 

教室に一歩入ると子供達が一斉に声を上げる。アッサラーム・アライクム。何と響きの良い言葉か。その時子供達の笑顔があり白い歯がこぼれた。

 沼と森林の中を抜けていくとどこに学校があるのかと思いながら歩いていると、子供達がどこからともなく集ってくる。教室に着いたのは夕方5時半過ぎ。もう薄暗くなってきている。授業は終わっているのに子供達は残って待っていた。外には家族が集まっている。

 ノモシュカール(ヒンズー教のこんにちは)と声をかけるが、中々答えてくれない。そんな時教室では『アッサラーム・アライクム』子供達の大きな声が聞こえる。イスラムの多いバングラでは『アッサラーム・アライクム』があいさつの主流なのか。そういえば入国審査の時係員に『アッサラーム・アライクム』と声をかけたら、喜んでどこで覚えたと聞かれた。30数カ国回っているが入管係員のあんな笑顔は見たことがない。(トルコと、ドバイでは街中で使って喜ばれたことはあるが)それだけイスラムにとっては大切な言葉なのだろう。言葉がどれだけ大事かと、つくづく感じた瞬間でした。

  ※「アッ- サラーム・アライクム」は、さまざまなシチュエーションで使われるあいさつです。朝や昼といった時間には関係なく、出会っ    た時にも別れる時にも相手に平安が訪れるよう祈って、この言葉を口にします。アラブ以外のイスラム世界でもこのあいさつは使    われています。

 言葉と同時に文字を書くこと、読むことも大切です。今年度からスタートした『母親の識字教室』。そこには真剣な眼差しで文字を書き、声をあげて文字や数字を読む姿があった。年のころは、そう、二十歳前後。バングラでは14、5歳で結婚するそうだ。教育にはあまり関心を示さないのか、生活のためか、年頃になれば女は結婚し、男は働きだす。苦労をしているのか、10 歳は年上に見える。( 普通アジア人は実際の年齢よりも若く見えるのだが)

 そういえば滞在したチャンドプルのホテルや朝・夕食を摂ったレストランでは一生懸命働く子供達の姿が見える。特にレストランでは12、3 歳の子供達が、1日15 時間の労働で月給400 タカ、チップを入れても800 タカ(日本円で2,000 円程度)。それでも3 食付なので、両親は学校に行かせるよりも働かせるほうが良いみたいだ。店のオーナーも働きながら学校へ行かせようとはしないようだ。

 教育は家族の協力なしでは中々厳しいものである。識字教室で学ぶ母親が勉強の楽しさ、大切さを知り、それまでは自分の名前すら読み書きができなかったが、子供の勉強にも関心を持つようになり、それまでは夫からはあまり賛成されていなかったが、今では理解を示すようになっている。海外に出稼ぎに出ている夫に手紙を書いたり、自分の名前をサインしてお金を借りることができるようになったりと、教育に対する意識が変わりつつある。

 また、学校に行きたくても環境が整っていないことも事実だ。教室の数が少ない、生徒200 人で先生が1 人( 国では3 人)。公立学校はテキストは無料だが文房具は別、またカバンすら持ってなくてテキストをそのまま手で持って行く子供達が目立った。汗でテキストがボロボロになり、持ちにくそうに歩いている。ドロップアウトが増える原因でもある。

 サウスバリア村では、ドロップアウトが多い為、はじめた補習教室だが、受け入れには限度がある。1 年〜 3 年を合わせて65 名。特に来年の1 年生は8 人の枠しかない。教室も狭く簡単には枠は広げられないし、時間をずらすなりの工夫が必要だ。
 
 いずれにしても、教育にはお金がかかるが、援助にも限度がある。また、いつまでも援助を期待されたのでは本当の自分達の為にはならない。近い将来、自分達で自立できるようなプロジェクトを組み、指導者を育てることも大切なことではないだろうか。5 年後、10 年後に子供達がどのように巣立っているか楽しみだ。


補習教室

補習教室授業風景

通訳ブイヤン氏の家族と

識字教室
参加者家族へのインタビュー

<スタディーツアー報告>バングラデシュ(2005年8月10日〜8月17日)B 報告者 芳賀 理江

☆アッサラーム アライクム☆

  2005 年8 月11 日、バングラデシュ・サウスバリア村に到着した。村の入り口に車が停まると、村の子どもたちが集まってきた。予習してきた片言のベンガル語で話しかけてみる。「クスクスクス」子どもたちは恥ずかしそうに、でもとびきりの笑顔で私たちを迎えてくれた。

 ここが、バングラデシュ・サウスバリア村かぁ。しみじみとあたりを見回した。来たんだ〜ついにここへ!!!きらきらと光る木々の緑と、溢れんばかりの子どもたちの笑顔、そしてお母さんたちの色とりどりの民族衣装が、とってもすてきでとってもまぶしかった。すてきなところだな。

 バングラデシュ・スタディーツアーに行く前、バングラデシュのことはNVC の運営委員会でよく耳にしていた。だが、よくわからなかった。子どもたちの補習教室・・・公立小学校があるのに必要なのか、お母さんたちの識字教室・・・いったいどんな感じなのか。

 もっと知りたい!自分で見て感じてきたい!行きたい!

 昨年はベトナム・スタディーツアーへ参加した。初めての海外。実際に現地へ行って見て感じることのすごさを知った。得るものがとても多かった。そして、そのNVC スタディーツアーで、今度はバングラデシュへ!行けると決まったとき、本当に嬉しくて仕方なかった。

 バングラデシュへ行くことが決まり、私は第39回NVCスタディーツアー サウスバリア村訪問記を読んだ。そして、衝撃的な事実を知った。2003 年のスタディーツアーで村を調査のため訪れたとき、村では大混乱がおき、「人さらい」と誤解を受けたこと。歓迎されなかったこと。そして、それに参加した大学生たちは、「こんなことをして何のためになるのか」「教育ってそんなに大事なのか」と感想を残していること。

 自分と同じ大学生たちの感じてきたことに私はとても心を動かされた。教育ってそんなに大事なの・・・その答えも実際に行って確かめたいと思った。

 そして、実際に行ってみて、そこは本当にすてきなところだった。私は村にいる間、ずっと笑っていた。ついついこちらまで笑顔になってしまうのだ。言葉が通じなくても、表情や動作で心は通じた。暑くて汗が次から次へと出てきたが、それもとても気持ちよかった。

 いろいろなことにも気づいた。村にある公立の小学校へ行ったが、生徒数分の教室はなかった。貧困と勉強についていけないことが大きな原因となり、退学する児童が多いことを知った。だが、NVC 補習教室ができて、サウスバリア村の子どもたちで小学校を退学する子はほとんどいなくなったそうだ。補習教室のおかげで勉強がわかるようになった、文房具も支給されるので貧しくても通うことができる、子どもたちはいきいきと元気よく勉強していた。

  お母さんたちも負けてはいない。今回サウスバリア村へ行って、一番印象深かったのが、お母さんのための識字教室だ。私たちは学校でわからないこと(簡単な国語や算数など)があったら、家族に聞くだろう。でもここのお母さんたちは、自分の名前も書けないし、簡単な計算も指を使わないとできない。自分の子どもたちが何を勉強しているのかもわからない、そういった状況だった。でもこの識字教室ができて、お母さんたちも勉強できる機会ができた。そして実際、お母さんたちは一生懸命、とっても楽しそうに勉強していた。「サインが書けるようになった」「子どもたちに勉強を教えてあげられる」「簡単な手紙を書けるようになった」お母さんたちは本当に嬉しそうにきらきらと目を輝かせ語ってくれた。

  教育ってすばらしいな、教育は必要だな、私は村の子どもたちとお母さんたちを見て強くそう思った。特に教育はすぐに結果は出てこないと思う。私は今後もこのプロジェクトを続けていって欲しいと心から願う。本当に良いプロジェクトだと思った。

 最後に、今回一緒にスタディーツアーに行き、本当にいろいろとお世話になった藤崎さん、鈴木さん、渡邉さんには感謝で本当にいっぱいです!得ることがとても多く、なによりとても楽しかったです。本当にありがとうございました!!!



<スタディーツアー報告>バングラデシュ   報告者 渡邉 順美
 2004 年度は、8月に事業調査を1回、12 月にスタディツアーを1回実施しました。今日は、その内容をもとに、バングラデシュ事業の概要についてお話をします。

 バングラデシュ事業の支援対象地は、バングラデシュ チャンドプル県サウスバリア村という村です。首都ダッカから車で約5 時間、チャンドプル県の県都チャンドプル市から、さらに車で約1 時間奥地に入ったところに位置しています。車で40 分程走ったところには、大河メグナ川が流れています。人口は、約15,000 人。ちなみに、サウスバリアは、現地の言葉(ベンガル語)で「ドッキンバリア」と言い、ドッキンは南、バリアは場所を表す言葉。すなわち、「南の場所」といった意味です。

 NVC は、このサウスバリア村でNVC バングラデシュという我々のパートナーが行っている2つの事業― 補習教室と識字教室― の支援を行っています。
 それぞれの事業の説明に入る前に、バングラデシュ事業全体の特徴を3点説明します。

1)現地にNVC バングラデシュという支部を作り、パートナーとして事業を展開していること。
2)我々NVC もパートナーであるNVC バングラデシュも全員がボランティアスタッフで運営されていること。特に強調したいのは、バングラデシュでは、このような全員がボランティアスタッフで運営されているNGO は殆どなく、専門性を有する専従スタッフで運営されている場合が多いということです。
3)サウスバリア村という一つの村を支援対象地として、地域と深いかかわりを持つ事業であること。

 それぞれの事業の内容は次のとおりです。
 
1) NVC 補習教室

 概ね6歳から9歳程度の児童に対して、公立小学校の補習授業を行っています。2001 年から始まった事業で、現在は、65 名の児童が学んでいます。ちなみにバングラデシュの初等教育、日本の小学校にあたるものは、6歳から11 歳を対象としています。

 支援の具体的な内容は、児童に配る文房具、おやつ、制服等の費用、先生のお給料、教室の賃貸料をNVC が負担しています。

 さて、NVC 補習教室に通う殆どの児童が公立小学校に通っていると聞いて、「どうして、公立小学校の他に補習教室が必要なのか?」と疑問を持たれた方もいると思います。この理由については、8月に行った事業調査でのインタビューの内容をもとにお話しします。

 NVC 補習教室を担当しているのは、女性のギタ先生、男性のプロディップ先生です。このお二人の先生にインタビューをしたところ、子どもが公立小学校の勉強でわからない点を親に聞いても、親自身が文字を読めないので教えることができない。その結果、勉強についていけず、公立小学校を辞めてしまう児童も以前はいたそうです。この背景には、公立小学校の教育が抱える問題、例えば、1学級あたりの人数が多く、行き届いた教育ができていないなどの問題があることは言うまでもありません。「小学校で退学」という事態は、日本では考え難いお話しですよね。

 また、補習学校開始以前は、保護者自身も教育に対する関心が低く、自分の子どもが公立小学校を辞めてしまっても、さほど気に留めていなかつたようです。しかし、補習教室が始まってからは、保護者の教育に対する関心も高まってきましたし、何よりも子どもたちの成績が向上し、公立学校の成績上位者はNVC 補習教室の児童が多くなりました。もちろん公立小学校を退学するケースも少なくなったそうです。
 
 保護者の方にもインタビューを行ったところ、「NVC 補習教室に通う前は、公立小学校へ行きたがらなかったけれど、通うようになってからは、公立小学校へも喜んで行くようになった」とのことでした。また、「どんな宿題が出されたか」など、子どもが家庭で積極的に勉強の話題を話すようにもなったそうです。親のかわりに子どもが書類を書いてくれることもあるそうです。
 
 また、「子どもたちがどんな勉強をしているのか関心があるので、教室をのぞきに行ってしまう。機会があれば、私たちも学んでみたい!」という話しがありました。
 
 確かに、初等教育の成果は、簡単に表れるものではありません。しかし、理解が不十分のまま授業が進んでしまい、その結果、小学校を退学するというケースがバングラデシュでは現実としてあるのです。また、このような初等教育でのつまずきにより、文字を書けない、読めない、計算ができない大人になってしまう可能性もあります。こうした事態を防ぐ為に、NVC では、建物を立てるといったハード面の支援ではなく、補習教室運営というソフト面に重点を置いた支援をサウスバリア村で展開しています。

2)識字教室

 サウスバリア村では、補習教室の開始を契機として、保護者にも教育に対する関心の高まりが見られ、保護者自身から識字教室の開講を求める声があがりました。
 
 この事業は、国連女性開発基金升本美苗基金より18 万円の助成を受けた事業で、2005 年1月から開始した事業です。
 
 職字教室では、補習教室に通う児童の保護者― 具体的には、文字が読み書きできない方、自分で学習を続けるだけの識字能力を身に付けていない方、また識字能力を使う機会がなく非識字に戻ってしまう恐れのある方― に対して、文字を読むこと、書くことを中心とした授業を夜間に行っています。人数は、6 ケ月単位で15 名(年間30 名)です。
 
 この事業は対象が女性なので、開始にあたっては、まずご主人の承諾をとりつけることから始め、教員も補習教室を担当している2名の教員のうち、女性の教員に担当してもらうことになりました。

 文字を読めず、書けなければ、手紙が届いても他の人に頼み読んでもらうことになります。また、役所で書類の記入をしようとしても、他の人に名前、住所などを書いてもらわなくてはなりません。

 ちなみに、バングラデシュの成人識字率を見た場合、男性61.6%、女性26.4%と男性に比べ女性の識字率が低い状況です(2002 年の調査による)。
 
 識字教室については、今後実施するスタディツアーで進捗状況を確認し、皆さんに報告をして参ります。
 
 最後になりましたが、バングラデシュ事業を担当し思うことは、NGO、特に、NVC のようにボランティアで運営している団体は、善意や使命感が先に立つことが多いが、あくまでも主体は支援の対象者であるということです。この点は、今後もしっかりとわきまえなくてはなりません。
 
 バングラデシュのスタディツアーは、当面少人数で組むことになりますが、一回毎にお一人でも新しい方に参加していただいて、事業の現状を見ていただきたいと思います。また、料理や音楽などバングラデシュの豊かな文化に触れるプログラムも組み入れていきたいと考えています。

補習教室について語るお母さんたち

懸命に学ぶ補習教室の子どもたち

補習教室と識字教室に奮闘する
ギタ先生
 
 補習教室について語るお母さん
 
 輝く瞳―識字教室開講式を終えて


ついにサウスバリア村に識字教室を開講 報告者 藤崎 千代子
 特定非営利活動法人ユニフェム(国連女性開発基金)日本国内委員会升本美苗基金助成金が、サウスバリア村に識字教室を開講するために授与されることになり、2004年12 月4 日に授与式があることは報告した(「かけ橋」第24 号)。

 この助成金は、途上国の女性のエンパワーメント(権限付与)とジェンダー平等を目的とする国内外の活動に対して授与される。今回の第1 回授与の対象はNVC とAVC(アジアボランティアセンター)である。AVC はネパールのダリット(被差別カースト)の女性を日本に招聘し、相互研修をおこなうプロジェクト。

 授与式は横浜フォーラムにおいて行われた。ユニフェム日本の理事長有馬真喜子さんの挨拶に続いて、授与団体の挨拶(授与への感謝、団体紹介、プロジェクトの目的等)、続いて小山内美江子さんの記念講演「金八先生、NPO・学校をつくる」があった。いずれもずしんと魂を揺さぶる刺激をうけた。

 この助成金18 万円をもって、昨年末に、三浦代表、谷口さん、渡邊さんとともに渡航した。

 識字教室は2005 年度の事業(2005 年1 月1 日〜 12 月31 日)として委託された事業である。本来ならば2005 年1 月1 日に開講式を行うべきだが、滞在の事情で1 日繰り上げて2004 年12 月31日におこなった。現地には、NVCBangladesh の裁量で、識字教室開講にあわせて新校舎が建築中であった。土台と途中まで建ちあがった壁、トタン屋根だけの空間に15人の女性が集まった。子連れ、老女(孫がNVC 補習学校の生徒)も混じっていた。講座名は「ミナエコリ」。「コリ」はベンガル語で苗とか蕾を意味する。勉強して大きな花を咲かせてもらいたいという期待を込めた。日本語とベンガル語を合成したこの名称は日バ交流に相応しい。三浦代表の挨拶の後、お母さんたちから小黒板に名前を書いてもらう。半分位の人は書くことができた。昨年からBrac(ブラク)、Asa(アシャ)というNGOがマイクロクレジットという自立ついにサウスバリア村に識字教室を開講資金の貸し出し事業をこの村で始めたので、名前は記号として書いているのだろうと、通訳が解説してくれた。

 識字教室は現在、机、椅子を購入し、教科書を用意して学習を続けている。「受講生の年齢と家庭環境の為、識字能力を向上させることは容易なことではないが、識字教室に通うことによって進歩していることは間違いない」と、カウンターパートが伝えてきた。

 彼女らの勉学環境を改善し、意欲を高めるために、他NGO のように受講生にコースを終えた段階で報償すべきかどうか(あるNGO は600 タカ(約1200 円)を、他のNGO は鶏とか子山羊を与えていると聞く)、より効果ある識字教室にするために、教師に識字教育の研修の機会を与えてはどうか等、カウンターパートと検討する必要があると考えている。